革を染めるという選択について-アンテロープ-
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2026年4月初旬。
丹波口駅で降り、アトリエ近くの公園に向かうと桜は満開だった。
日が強く当たる場所では、もう散り始めている。
来週の雨で全部落ちるだろうな、と思う。
夕方になるとまだ肌寒く、革ジャンは問題なく着ていられる季節。
最近は、少し綺麗目なシャツにワイドパンツ。
その上に革ジャンを羽織りたい気分だった。
そんな時に目に入ったのが、アンテロープレザーのダブル。
アンテロープ(レイヨウ)は主にアフリカに生息する牛科動物の総称。
流れるような強いシボ感、掠れた凸。
凹はマットで白く、黒く墨を流したような斑模様が浮かぶ。
激しい見た目とは裏腹に、手に取ると驚くほど軽い。
少しふかふかしていて、スポンジのような感触。
使い込むにつれて脂を含み、しっとりと吸い付くような質感へ変化していく。
ジャケットはもちろん、バッグにも適した革だ。

そのままでも十分良かった。
ただ、せっかくなら。
今までやったことのないことを試してみたくなり、製品染めを選んだ。
思いついた日にはジャケットは送ってしまい染色前の状態を撮影し損ねたのはやや悔やまれる。

裏地は度詰めのポリエステル。
水が抜けないため、裏地中央の縫い目を一部解き、水の通り道を作る。
染色は、いつもお世話になっている兵庫・たつののタンナーに依頼。
あとは待つだけ。
約2週間。
予想通り、雨で桜の季節はあっという間に過ぎ去った。
新緑が立ち上がり始めた頃、完成の連絡が入る。
仕上がりは想像を超えていた。
シボはやや落ち着き、斑模様が際立つ。
光沢と重厚感が増しながら、柔らかさと軽さはそのまま残っている。
ここから先、経年によって深まる色と艶。
その変化を楽しみながら、長く付き合っていきたい。

※リカラーオプションは革の種類により対応可能。
納期・仕上がりは革や状況により異なるため、詳細は応相談。